「オレオレ詐欺」という言葉を初めて聞いてから何年経つだろうか。
段々と巧妙かつ大胆になり、親族から警察官なども登場する劇団員顔負けのオレオレ詐欺まで発生しているようだ。
近年のオレオレ詐欺のバリエーションには驚かされる。
いつ自分が被害にあうか・・・と思っていたら、肉親が対応しかかったという話。
年齢が上がってくると、認知が下がる!?
冷静に話を聞くと、「それは引っかからないだろう!」と本当に通常は思う。
が、年齢が上がってくると認知が下がってくることも多く、いまだに被害は後を絶たず。
県警からの注意喚起メールが毎日のように届き、銀行や郵便局でも注意喚起のポスターが常に貼られているのをよく目にする。
「オレオレ詐欺にあった」という話を客観的に聞くと、そのときには既に「詐欺」を前提として聞いているので、まさか自分が引っかかるとは思っていないのかもしれない。
そして、巧みに「肉親の心配」というところにフォーカスしてパニックに陥らせてから話が進んで行くので、高年齢だとなかなか難しいところがある。
母よ待ってくれ、それは兄ではない
以前に父も「オレだよ、おじいちゃん」という電話をもらったが、男孫なんて居ないので「ああ、そう、どこの孫かな?」と楽しく電話口で遊んでいるという話を聞いた。
父はかなり騙されにくい。というよりも、中心は自分が話すことで快感を得ているので、人の話はほとんど聞いていないので大丈夫。父とは生まれたときからの長い付き合いなので、「この人は騙されないだろう」というのが良くわかる。
母は父を立てるために、頭が悪いふりをしつつも実はかなり賢いので途中で気づきはしましたが・・・。
そんな母が途中まで聞いてしまったのには、詐欺グループが仕掛けたある心理に理由がありました。
ニセ兄「オレだけどさ、実はノドの癌になっちゃって・・・、喉頭がん」
この「喉頭がん」という言葉で、心の動揺を誘いつつも多少の声の違和感は「癌のせい」ということで気にならなくなってしまうのだ。
恐るべし、「オレ」。
母よ待ってくれ。それは「オレ」であって「兄」ではないのだ。
「オレ」様の電話内容の要約
ニセ兄「バッグを盗られた。その中に携帯と財布が入っていた。今日一日家にいる?警察から電話がかかってくるから。」
ニセ兄「(ある用事で外出中の)お父さんには電話しないで。(その用事に)集中できなくなるから。」
母 (「それはそうか」と思ってしまう。兄妻にも言うなという言葉も出た。)
ニセ兄「警察から連絡あったか?」(と、15分おき毎に繰り返し電話をかけてくる)
母 「ないよ」
ニセ兄「まだないか・・・」(がっかりしたような声)
母 「パスポートとかはどうしたの?」
ニセ兄「パスポートと保険証は身につけていたので大丈夫」
・兄は地球のある地域担当なのだ。良くとっさに切り返すな、ニセ兄・・・。このアドリブ力はちょっと魅力だ。
ニセ兄「上司とお客さんまわりをしていた。お客さんから通帳を預かっている。かなり莫大な額。これがバッグの中に入っていた。」
ニセ兄「お客さんに渡す、ものすごい膨大な資料を作ってきたんだけど、それも入っていた。資料は時間かかるけど、また作れる。」
ニセ兄「このままだと、お客さんと上司から怒られる。」
ニセ兄「上司から2万円貸してくれた。これは返さなくっていいって。こっちで弁償しなくちゃならない。上司には81歳の母がいて、足悪くしているが貯金をおろしてもらっている。おまえも母親にたのめ。」
・そもそも、お客さんからの通帳を預かることがおかしい。本物兄はそんな仕事していない。そして、会社の問題であれば母ではなく会社に報告するのが普通。上司がなぜ2万円貸し、しかも上司自身の母親から貯金をおろしてもらうのかも意味が分からない。
ニセ兄「どのくらいある?お金。」
母 「通帳見ないと分からない。」
ニセ兄「待ってるから確認して。」
母 「これはダメだ、使い終わって捨てるやつだ。通帳探してとにかく郵便局行くか。」
やっぱり何かおかしいぞ
通帳・身分証明書と印鑑をカバンに入れて廊下を歩いて玄関に行くまで・・・「ん?これはおかしいな」とようやく冷静に。そして、「これは詐欺だ」という確信に変わり、郵便局で確かめようと行ってみた。
話してみると、やはり完全におかしいので話をしただけで帰ってきた。
・いや、郵便局で確かめるまでもないのだが、話すことによって更に「オレオレ詐欺」ということを改めて完全確信へ。
郵便局では「警察に連絡しておいた方が良いですよ」ということだったが、警察に何回か電話したが出なかったのでもう電話するのもやめた。どうも反応悪いんですよ、警察。
余談だが、新宿の警察はかなりフットワークが軽く、速攻対応してくれると、新宿に会社を持っている知人から聞いた。日本全国ぜひそうして欲しいものだ。
その後、速攻の連携により本物兄とその会社、兄嫁と父とも話ができ笑い話にすることができた。
その後は・・・
その後、着信履歴は残っているので犯人の携帯に電話したら、別の人間が出た模様。直接電話してきた「ニセ兄」の声は後方の方で別のオレオレ詐欺電話をしているらしく、声が聞こえてきていたようだ。
その別の人間に、「子の名前は?奥さんの名前は?子供の名前は?実家は?」と矢継ぎ早に聞いてみた。その後は折り返し電話はかかって来ることはなかった。
本物兄から電話がかかってきたとき
母 「子の名前は?奥さんの名前は?子供の名前は?実家は?」
と聞いたらしい。
その話を聞いたときには本来の母っぽく可笑しかった。
良かったこと
良かったこととしては、お金は普通に貯金なんてしてももったいない世の中ということで、ちょっとした運用をしているために手元にはお金は置いていない。すぐにおろせるようなお金は置いてないのだ。
振り込んだとしても少額。
逆にオレオレ詐欺グループの方が労力に比べ効率悪く残念な結果となるんですけどね、うちの場合は。
今回のような「オレオレ詐欺」を含め、人を欺いて不幸にするような事柄はこの世から消えて欲しいと願うばかりです。