「コーピング」という言葉。
認知行動療法を学ぶまで知りませんでした。
簡単にいうと「ストレスの対処法」ですね。
ストレスや悩みは生きている限り続きます。
不健全な悩み方(自傷行為などに走ってしまう)ではなく、一つひとつクリアできる「上手な悩み方」を提供できればと常に思っています。
コーピングとは?
今回読んだ本は
著書名:折れない心がメモ1枚でできる「コーピングのやさしい教科書」
著者名:伊藤絵美
読み進めて行くと、前に読んだことあるような・・・
と思ったら、前回読んだ『心の体質改善「スキーマ療法」自習ガイド』と同じ著者でした(笑)。
一度読んだ著者さんなので、内容が体の中にスッと入りやすくなっています。
この「コーピング」はアメリカの心理学者であるリチャード・S・ラザルス博士が考案。
「ストレスへの意図的な対処」という意味です。
最大の目的は、
ストレスに気づく → 適切に対処 → 「ストレスとうまく付き合う」
ということ。
この本では、誰でもわかりやすいように、認知行動療法の入り口の部分からマインドフルネスやスキーマ療法までを簡単に説明してくれています。
セルフモニタリングで今起きていることを確認する
ストレスは自分で気づく部分もありますが、気づかないうちに溜めてしまうことこともあります。
まずは、ストレスを感じる感じないに関わらず、「セルフモニタリング(自己観察)」して行くことが重要です。
ストレスというのは、
- ストレッサー:環境、出来事のこと
- ストレス反応:心と体に出る反応のこと
に分けることができます。
ここに対してモニタリングをしていきます。
これを具体的に紙に書いていきます。
★どんな「ストレッサー(出来事)」かを書く
その出来事に対して、「ストレス反応」を以下の4つに分解していきます。
①「認知」(パッと頭に浮かんだイメージで、認知行動療法では「自動思考」という)
②「感情」(心に浮かぶ気持ち。一言で表すと分かりやすい)
③「身体反応」(体に表面化する生理的な現象)
④「行動」(ストレッサーに対して自分のとった動き)
この4つがお互いに影響し合っていきます。
このストレッサー(出来事)に対して考えるとき、複数出すと混乱してしまいます。
「ある一場面を切り取って見ていく」ことが大切になってきます。
(one slice of time)
コーピングレパートリーをたくさん持とう
コーピングはストレスを小さくしてあげられる。
「自分を癒してあげるもの」と表現したら入りやすいかな。
コーピングレパートリーとは、「手持ちのコーピングすべて」のこと
「質より量」という鉄則
たくさんあれば「選べる」から
本当に「些細だな・・・」と思ってしまうものでも良い。
むしろ、その方がハードルも低く、すぐでき、しかも沢山あれば選択肢も増える。
そのレパートリーの中でも、その時々でできることや、やりたいこと、いまはやりたくないこともありますよね。
作っていくにあたり、以下のように考えていくと作りやすいということ。
まずは、焦点を当てるものは「問題」か「感情」か。
「問題焦点型」=ストレス反応を引き起こす「ストレッサー」自体に働きかける
「感情焦点型」=ストレス反応に目を向け、それを緩和するもの
そして、「考える」か「行動する」か。
「認知的コーピング」=頭のなかで考えたりイメージしたりするコーピング
「行動的コーピング」=具体的な行動を伴うコーピング
例えば、私が作るとしたら、
「楽しい未来を思い浮かべる」「大丈夫!と心の中で思い続ける」
「スカッとする炭酸を飲む」「林の中で自然を感じる」「海で波の音を聞く」
というところかな。
昔からよく使うのは、ずっと役者をしていたこともあり「その場面に応じた役を演じる」こと。
自分ではない誰かになって、客観的に自分自身を見ていくというのはとても強力なコーピングです。
(気づいたら、本の中のコラムに同じことが書いてあった)
習得しておきたい5つのコーピング
いろいろなコーピングがありますが、特におすすめしているのがこの「5つのコーピング」でした。
- 頼れる人を「サポートネットワーク」で可視化
- 「ポジティブなイメージ」を用意しておく
- 自分をねぎらってみる
- 「自分のいいところ」を見つける
- 第三者になりきる「フレンドクエスチョン」
どれもこれも大切ですが、「5」で自分自身を客観視。
そして、「4」で良いところを見つける。
このルートがやりやすいかもしれない。
以前行ったギャラップ社のストレングスファインダーでの結果に「回復志向」が強みに出ていた。
自然と欠点に目が行く方なので、なかなか「自分のいいところ」に焦点を当てるのが難しい。
けど、効果的だってすごくわかる。
こんな風に、自分に合ったやり方で活用していければやりやすいですね。
マインドフルネスであるがままに受け止める
本格的にマインドフルネスを行いましたが、初めての時はなかなか難しかったのを覚えています。
瞑想の時なんて、眠ってしまったりして・・・。
雑念が思い浮かびすぎて「困ったな・・・」と思うこともしばしば。
でも、マインドフルネスはそれでいい。
「思い浮かんだものは、そのまま見つめてみる」
ムリに無くそうとしなくて良いというのも分かりました。
「あるがまま」がマインドフルネスだから。
それを味わっていくたびに、ニュートラルになることが出来ていきます。
ここでは12のワークをあげています。
- 自動思考には「と思ったのワーク」
- 川に流す「葉っぱのワーク」
- お皿が回る「回転ずしのワーク」
- ただ見つめる「気分・感情の実況中継」
- 緊急時には「ロボット掃除機のワーク」
- 感情を預ける「壺のワーク」
- 五感を使う「チョコレートエクササイズ」
- 感覚を研ぎ澄ます「触るワーク」
- 好きな香りではじめる「香りのワーク」
- さまざまな音に気づく「聞くのワーク」
- 空気の出入りを感じる「呼吸のワーク」
- 体を輪切りにする「ボディスキャン」
それぞれ、自動思考、感情、身体感覚、行動系と分類できます(1つにつき複数重なったりしていますが)。
いきなり全部やろうとすると失敗してやらなくなってしまいます。
必ず「食べる」という行為は毎日行いますので、「7」から始めると良いかもしれません。
マインドフルネスでは、結構「レーズンを食べるエクササイズ」を行うところが多いと聞きます。
私が行っていたところもそうでした。
また、上記で意識的に行うと良いのは、「4」ですね。
具体的に言うと、「悲しみ:40%」「怒り:60%」など、感情を数値に表していく。
ネガティブ感情が出てしまったときに行うと、冷静になれて良いですよ。
お気に入りのワークを見つけて、次に自分自身として新しいワークで意識を動かしていくのは有効ですね。
早期不適応的スキーマに気づく
前回の記事で、「スキーマ療法」について書きました。
心の体質改善をする(スキーマ療法)
https://harun8.com/psychology/1040/
「早期不適応的スキーマ」とは、
幼少期(早期)の生活環境によって形成される、ちょっと困ったスキーマ。
このスキーマを抱えながら大人になると、生きづらいと感じることも多い。
- だれにもわかってもらえない
- ダメな自分が恥ずかしい
- 自分が犠牲になればいい
- だれかに頼らないと不安だ
- 自分は変わり者だ
- 完璧であればならない
- どうせうまくいきっこない
- 自分は特別な存在だ
- もっともっとほめられたい
これらが顔をだして、自分自身が苦しくなることってないですか。
ときにはこのスキーマを使って自分を慰めたと思い込んだりすることもあります。
けど、効果的か?と聞かれると、そうでもなかったり。
だから、「セルフモニタリング」や「マインドフルネス」を使って対処していく。
また、
子どもの自分と大人の自分を対話させる
自分の中の「子どもモード」に対して、「大人モード」で自己対話してみる。
傷ついたりしている「子ども」に対して、「大人の私」が癒してあげるような声がけをしてあげる。
心の中で行うのも良いのですが、実際に行ってみた方がイメージつきやすいかもしれません。
「ゲシュタルト療法」の中で、「エンプティチェア(椅子技法」」というのがあります。
自分の斜め横にイスをおいて、その空のイスに座っている「子ども」に対して話す。
やったことがなければ、今までにない気づきが起こるかもしれませんね。
思ったこと
今自分が体験している苦しかったり、辛いことなどに対して、上手にストレスをマネジメントしていく。
いろいろな手法がありますが、自分に合って楽にできるコーピングが探せたらと思います。
そのために、コーピングレパートリーをたくさん作っておく。
「質より量」の戦略で作っていくことが大切ですね。
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